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心理学ワールド 82号 巻頭言 研究生活を振り返って思うこと 太田 信夫(東京福祉大学 教授/筑波大学 名誉教授) | 日本心理学会

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Academic year: 2021

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巻 頭 言

Profile─太田信夫 名古屋大学大学院教育学 研究科博士課程単位取 得退学。教育学博士。鳥 取大学,筑波大学,放送 大学,学習院大学を経て 現職。専門は認知心理 学,教育心理学。日本認 知心理 学 会 理 事 長,日 本心理学諸学会連合常 務理事,心理学検定局 長などを歴 任。最 近の 和書は,『現代の認知心 理学(全7巻)』(編集代 表),『シリーズ心理学と 仕事(全20巻)』(監修) (いずれも北大路書房)な ど。洋 書(共編著)は, Li f espan development o f hum a n memor y (MIT Press),Dynamic

co g nit i ve pr oces ses (Springer),Memory and

emotion(Blackwell), Dementia and Memory (Psychology Press)など。  この半世紀,曲がりなりにも研究に従事させていただいた私の人生は, 数多くの先輩後輩との出会いやその方々の論文・発表に負うところが大 きいと思います。博論をまとめ,運良く就職できましたが,研究的には ぼんやりとしていた30代の中頃,トロント大のタルヴィング先生の下 で在外研究を1年間させていただくことになりました。今思うに,この 経験が私の研究活動のターニングポイントとなったようです。 そこでは,二つの大きな経験をしました。一つは「潜在記憶」という記 憶の存在を知ったことです。もう一つは毎週水曜日のお昼に開催されて いたEbbinghaus Empireという研究会を通して,世界的に著名な数多 くの記憶研究者たちと知り合うことができたことです。  このトロントでの経験から,帰国後,さっそく潜在記憶の研究を始 めました。また当時は,エビングハウスが科学的な記憶研究を始めた 1885年からの100年を記念して世界各地でシンポジウムが開催され,日 本心理学会でも「記憶研究の100年」と題するシンポジウムがありまし た(第49回大会)。私はこのシンポジウムに参加させていただき,日本 でもっと記憶研究を盛んにしたい,私自身ももっと他人の研究を知り たいと思うようになり,翌年以降も記憶関係のシンポジウムやワーク ショップを毎年開催することにしました(多鹿秀継先生と共催)。  その数年後,関東地区の記憶研究者を対象に,原則,月1回の「記憶・ 認知研究会」も始めました。また,日本の記憶研究者を対象に年1回の 一泊二日のJCOM(Japanese Conference on Memory)も始めました。 そしてさらにTIC(Tsukuba International Conference on Memory)も 開催することができました。どの集会もお蔭様でその後も継続するこ とができ,日本心理学会のシンポジウムは30年間続きました。記憶認 知研究会(藤田哲也先生を中心に現在も開催中)は165回を迎えていま す。JCOMは日本認知心理学会の発足(2003)により発展的解消しまし た。TICも10回まで行うことができました。特にこの国際会議(毎回 12名ほどの海外研究者を招き,3日間行われた)は多額の資金が必須で, 本当に様々な組織からの支援の賜物です。  このような様々な集会を通して,私は多くの研究者と出会い,そして 多くの刺激を受けてきました。なんの能力も才能もない私が,こうして 今でも研究心を維持していられるのは,皆様方のお蔭だと痛感しており ます。感謝! 感謝!! です。

研究生活を振り返って思うこと

東京福祉大学 教授/筑波大学 名誉教授

太田信夫

(おおた のぶお)

参照

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